19、メバル天国 2 秘密兵器編

長浦の岸壁は少し特殊な構造をしている。岸壁が陸から2,30mせり出していて、その下に埋め立てていない海がある。つまり、ちょうど岸壁に下の地下に海があるような形なのだ。ここは根魚や小魚達の棲家になっていて、メバルやアイナメ、ムラソイ、メジナといった魚がたくさん居付いている。また小魚を狙うスズキ等も現れる。そして岸壁なので当然船が停泊する水深がある。水深があるということは、沖にいるような魚、たとえばキスやカレイ、イシモチといった投げ釣りでしか釣れないような魚でもチョイ投げで釣れる。そのような条件がそろっているので高い釣果が期待できるのだ。

実際の私が長浦で釣った魚を挙げてみると、アイナメ、メバル、ムラソイ、ギンポ、メジナ、イシダイ、石ガニなどの岩礁にいる魚貝類、キス、アナゴ、イシモチ、カレイ、メゴチ、ハゼなどの砂地と岩が混じった海底にいる魚、フッコ、イワシ、アジ、ママカリなど回遊する魚などいろいな性質の魚がいる。

今回は前と同じように夜電気ウキでメバルを狙おうと長浦を訪れた。季節は秋だった。竿は私の持っているフルの4本を使った。3本を電気ウキに、1本をアナゴ狙いでジェット天秤の仕掛けで投げておいた。夕暮れ直前に着いたが、先客がいたので一番期待できる先端部分ではなく、少し手前の岩礁寄りの場所で釣り始めた。

日も暮れてそろそろあたりが出始めてもいいころなのに一向にアタリが来ない。電気ウキの3本のタナを変えたり、少し沖目から引いてきて誘ってみたりしてもだめだった。そこで私は秘密兵器を取り出した。ジグヘッドだ。

メバル釣りと言えばジグヘッド+ソフトルアーだというくらいの定番仕掛けだ。実はルアーというものにあまりいい思い出がない。長浦に来はじめのころには、1個千円近くする物を何本か用意して試してみたこともある。やり方など知らなかったので適当に付けて適当に投げていただけだ。ここ長浦のテトラ帯や岩礁地帯にもお構いなしに投げていた。当たり前といえば当たり前だが、すぐにひっ掛かって数千円が一瞬にパーとなった。

それ以降ルアーは手にしていなかったが、メバル狙いなら、定番はジグヘッド+ソフトルアーだ。それならたしても500円ほどである。一度試してみるのもいいかなと考えていて、一応道具箱の隅に入れておいた。それを取り出した。ソフトルアーはホワイトしかない。電気ウキの竿を1本変更して、それをジグヘッドに付けた。

どこかの掲示板に書いてあったが、少し投げて表層や中層を引いてきたり、上下に揺らして誘ったりするらしい。そのとおりにやってみた。

全く反応がない。30分ほどやってみたが、この海には生物が本当にいるのかと思うほど無反応だった。そこでもう1つ考えていたことを実行した。ソフトルアーはもともと餌を真似した疑似餌だ。それならば本物にしてやればももっといいはずだ。ソフトルアーの代わりに青イソメを使ってみよう。

この作戦は大成功だった。

やり方も単純で、ジグヘッドの先を青イソメに変えて、岸壁の際を単純に引いて歩いて行くだけだ。ゴツゴツとうあの特有のあたりの後、グググと糸が引き込まれた。間違いないメバルだ。12,3cm。あまり大きくはないがその日最初の1匹をゲットした。

メバル好きの人は、あのメバルのアタリと引きが何ともいえず好きな方が多いのではないか。私もその一人だ。ゴツゴツと最初に来て、それをあせらずにうまく合わせると、あのサイズにしては考えられないあの引き。バレる確率の方が断然高いのもいい。最近は週末の夜になるとあの感覚がどうしょうもなく恋しくなってくる。

その日は結局電気ウキには1匹も掛からず、餌ジグの方ばかりに食いついてきた。餌ジグの釣果と拡張性はとても素晴らしい。今では私のメインの仕掛けにになっている。どこに行ってもとりあえず餌ジグの仕掛けを放り込んでおくようにしている。

餌ジグで釣れる魚は、表層狙いでメバル、フッコ、中層でメジナ、アジ、フッコ、底でアイナメ、ムラソイ、ハゼ、キス、ギンポ、イイダコだ。ほとんど何でも釣れる。

エサジグ釣果

特に面白いのが中層の置き竿だ。ジグヘッドの場合糸の付け方がハリのお尻に付けるやり方と横に付けるやり方がある。横に付けると、波の動きに合わせてニョロニョロと漂う青イソメがちょうど魚から見て水平に泳ぐ小魚のように見えるのだろう。好物が目の前を泳いでいる様を魚たちは我慢できないのだろう。

どうしてこんなことに気が着いたかといえば、たまたま電気ウキに掛かった魚を取り込んでいるときに、手を離して置いておいた餌ジグにメジナが掛かったからだ。そのメジナは30cmを超える立派なものだった。他に40cmを超えるのフッコや回遊魚のアジまで掛かることがある。

最近は3本のうち、1本目を電気ウキ仕掛けにして遠目に、2本目はジェット天秤のチョイ投げ仕掛けで、そしてもう1本の餌ジグを手元で扱うかまたは中層の置き竿で使うようにしている。

この釣りのよいところは底から水面近くまで探れるのでいろいろな魚が掛かるところだ。仕掛けを変えずに活性の高い魚を探れる。

今回の獲物は刺身と味噌汁にした。

餌ジグでの釣り方

餌ジグは本当によく釣れる。しかもいろいろな種類の魚に使える釣法だ。

獲物刺身 右上:メジナ 右下:アジ  左上:アイナメ 左下:メバル

まずは夜釣りでのメバル狙いだ。基本は投げては一定の速さでリールを巻く単純な作業の繰り返しだが、そこには多少のコツがいる。ジグは軽量での道糸は細い方がようだろう。私の竿の場合はいつも太めの3号なのでせいぜい飛ばせても2,30mだ。それでもそこはやり方次第だ。単純に一定の速さで引いてくるには距離が足りない。なのでリールは遅めに巻きときどき止めては少ししゃくる動作を入れる。基本は表層を狙うのだが、少し沈んだ方がいい時が多い。反応がない場合は底を引くぐらいの感じで探ってもよいだろう。底が岩場の場合、引っかかりやすくなるが、ジグのハリは弾力があるので引っかかっても手で直接道糸を引っ張れば、めったに糸が切れることはない。逆に底を狙うことで外道のムラソイやカサゴやメジナなどの根魚が掛かることもある。メバル狙いの場合、岸壁の際を一定の速度で引いて歩いても効果がある。

次はアジ狙いの場合だ。最近アジングという釣りが流行りだしている。ジグヘッドにソフトルアーでアジを狙う釣りである。これはまさに餌でやるアジングだ。これも主に夜狙う。アジは中層以下を回遊するの魚だ。水面近くでは釣れないが底引きでも釣れない。これも2,30m投げてから引いてくる。引き方としては投げてから少しジグが落ちる時間を取ってから引き始める。その場合でも底を這わせてはいけない。なのでジグは軽めの1gが良いだろう。

最後にアイナメ狙いだ。主に昼間の釣りになる。これは簡単だ。単純に岩場のポイントにこの餌ジグを落としておけばよい。アイナメは勝手に餌をさがしてこの餌ジグに食い付く。あまりアタリは出ないので時々竿をチェックしよう。竿をあおった時に急に引きこまれたらアイナメだ。ただ重くなっているだけの場合もある。この時はギンポか石ガニだ。この釣りももハリが岩に引っかかる場合が多いが慎重に指で糸を持ってやり取りすると抜けることが多い。また、引っかかったと思ってやり取りしていたら実はアイナメやギンポだったこともしばしばだ。

オーソドックスにやるだけではなく、置き竿という手もある。単純に足元に竿先を長めに出して餌ジグを入れておくだけだ。タナをいろいろ変えてやるだけでいろいろな魚が狙える。フッコなどの大物が掛かる場合があるので、竿の手元側にブロックなどで重しをつけておくことを忘れずにしたい。私は竿1本を手元で操って、もう1本を置き竿にしておく。置き竿に一番かかるのがセイゴ・フッコで次に掛かるのがアジだ。

餌ジグの弱点は向かい風だ。ジグは軽いので逆風だと遠くに飛ばない。そんな場合は足元でミャク釣りのように底から中層までを丁寧に探ってほしい。昼はアイナメ、ムラソイ、夜はメバルやセイゴ・フッコが掛かる。

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