3、ハゼをたずねて三十里 2 江戸川放水路

ハゼ釣りのメッカ江戸川放水路へやってきた。市川側から東京に戻るように行徳橋を渡っているときに、左側の放水路にたくさんのボートが見えた。いよいよハゼ爆釣だと思うと心がはやる。行徳橋を渡り終えたすぐの土手の上の道を右折する。50mほどの所に駐車場を見つけた。車を降りて道具一式を持っていざ放水路へ。

ここで江戸川放水路について少し説明しておこう。行徳橋の海側に立つと水門がある。この水門から上流が江戸川、下流が江戸川放水路だ。江戸川はこの直前で2つに別れている。1つが旧江戸川、もう1つがこの江戸川放水路だ。旧江戸川、江戸川放水路とも水門を持っていて、水量により開閉をおこなう。もっとも、主に開くのは旧江戸川側であり、江戸川放水路の側の水門はほとんど開かない。台風などでよほど水かさが増えてないと開けないのである。つまり江戸川放水路は川と名乗ってはいるが実は海なのだ。泥の干潟をもった遠浅の海なのだ。ハゼの生息地としてはこれほど適しているところはない。

駐車場からも最も近い行徳橋の袂で早速糸を出すことにした。先客はファミリーを中心に数十人いる。まず、先客達の釣果を確認する。何人かにたずね、またバケツの中をのぞいてみた。あら、どうしたことか?釣れていても数匹、ボウズの人もいる。「ぜんぜんですよ。」とか「やっと2匹です。」などの答えが帰ってくる。嘘だ。ここはあの江戸川放水路だぞ。ハゼ釣りのメッカ。日本で最もハゼが釣れる聖地じゃないのか。と思った。

行徳橋

そんなことはない。「たぶんこの人たちはハゼ釣りのなんたるかを知らんのだ。」などと強気に考え、とりあえず糸を出してみた。仕掛けはいつもの通り2000円のスピニングリール竿セットに4号オモリ、スナップサルカンに7号の赤ハゼ針だ。道具については別の機会に詳しく説明するが、どんな魚を釣るときでも基本的にはこの初心者用セットで十分だ。

まずは岸近く5m程度のところから探っていく。水深はごく浅く30cm程度。何回か投げなおして5m四方を探ったが一切あたりなし。次に岸から10m程度の所を探ったが同じくあたりなし。同様に15m程度の所を探っているとはじめてのあたり、しかし釣れなかった。このような感じで30分以上やってみたが結局釣果なし。こんなことなら旧葛飾橋下でやってればよかったなど思い始めていた。移動しよう。早々と結論を出し、河口付近まで少しずつチェックしながら移動することにした。

市川側に戻って放水路沿いに車を進め、土手に出られるところでは車を止めて竿を出す。ところが、どこへ行っても行徳橋付近とかわりなく全くだった。そんなことを何回か繰り返すうちにとうとう河口付近まで来てしまった。

江戸川河口

市川側の河口は腰辺りまでのコンクリートの壁になっていて、そこから3,4m直下に川が流れている。ボートの釣り人を眺めていると結構な数を釣りあげている。どうも魚は岸付近にはあまり近寄らず、岸から100m以上沖に溜まっているようだ。ボートでしか釣れないということか。道理でテレビの釣り番組ではボート釣りしか取り上げていないのか。結局7,8cmの小型のハゼを5,6匹釣りあげ、ボートの釣り客を恨めしそうに眺めながら帰途に就いた。ちなみにボート代は1日3500円らしい。バカらしい!ハゼごときにそんなに出せるか!

このリベンジは翌年偶然達成される。

ポイント

今回は江戸川放水路、行徳橋付近・河口付近で釣った。江戸川放水路の正式名は江戸川だ。放水路は付かない。元の流れである旧江戸川と区別するために今でも一般的に江戸川放水路と呼ばれている。ハゼ釣りのメッカとして有名で、陸っぱりからでも一束(100匹)釣る人もいるほど魚影が濃いと言われている。ボートで出かけるのが一番確実だが、陸っぱりなら水に膝まで半分入って釣る立ち込み釣りがよい。ただし、いずれの場合も台風などの行徳橋の可動席が開くと数日間は不漁となる。

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