30、最後の砦 おいしい礒物

私の場合ほとんどボウズにはならないのだが、本当にまれに何も釣れないことがある。そんな時の最後の砦はスガイやイシダタミ貝などの磯物だ。テトラ帯やゴロタ場ならたぶんどこにでもいる貝類だ。この貝類は本当においしいのだが、なぜか関東では誰も見向きもしない。

この貝類は全国で様々な呼ばれ方をしている。それで余計に、どれがどの貝なのかがわかりずらくなっている。特にスガイ、イシダタミ、クボガイはどうにも紛らわしい。私も正確にはわからないが、サザエのような硬いフタがあるのがスガイのようだ。イシダタミとクボガイは薄いフタだ。ただ、いずれの貝もおいしいので、あまり気にしなくても大丈夫だ。

岡山ではスガイは「ダビ」と言われていて、海岸の岩場で石の間にひっついているものを夕飯のおかずに採っていく人をよく見かける。バケツの中に何やら小さな巻貝が入っている。はじめは、あんな小さな貝を採ってどうやって食べるのだろうと不思議に思っていた。岡山の家の夕飯にその貝が大ドンブリで出てきたのでびっくりした。

スガイなどは潮が引いている時の方が獲りやすいが、満潮時でも獲れないことはない。なぜかと言えば、これらの貝類は海面が上昇するのにつれて揚がってくるのだ。常に少しは水に浸っているが、満潮時でも水面直下に何個かはひっつりている。それを採ればよい。

この貝はどこにでもいるはずなのだが、あまり湾奥では見たことがない。テトラ帯なのに浦安では本当に少ない。市原や横浜より南側の方にたくさんいる。

ひとつ注意だが、 スガイと同じ場所にいる小さくて背の高いごつごつした巻貝 イボニシや、もう少し大きいごつごつした巻貝も食べるらしいが、私は苦くて食べない。

料理法はいたってシンプルだ。獲ってきた貝の表面を洗い、沸騰した2%程度の塩水で10分ほど茹でるだけだ。それをざるにとって冷めるまで待つ。それで完成だ。注意点としては茹で時間に注意すること。茹で時間が短いと奥の方が内面に張り付いていて身が出てこない。また、長すぎると硬くなってしまう。

 イシダタミ貝

食べ方はフタが付いている口を太めのマチ針かようじで刺して、クルッと回しながら引き出す。底の黒い部分も苦味はないのでそそまま食べてしまう。ちょっと硬くしたサザエのようだ。とてもおいしい。小さいので3,40個食べないと食べた気がしない。そこで大ドンブリの登場となるわけだ。ビールのつまみには絶好の一品だ。

もし、ボウズならこれを拾って帰ることをお勧めする。夕食時のビールが良く進む。

今回のポイント

湾岸ならどこでも。テトラ帯またはゴロタ場などの岩礁地帯。ただし、湾奥にはあまりいない。

参考動画

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