21、ボウズのがれの法則

私は釣りに行った時にはほとんどボウズになることはないと話した。しかしどうしても何をやってもだめな時がある。経験を積むうちにどのような条件の時にそうなってしまうかが分かるようになってきた。それを紹介しよう。

1、季節

最も釣れるのは春と秋だ。逆に釣れないのは冬だ。冬は水温が下がりすぎていて岸に魚が寄りつかない。魚は水温が上がると岸に近づき岸近くの小魚やプランクトン、青イソメなどの虫類を食べにやってくる。私も何度となく冬に釣りに出かけたが釣れてもせいぜい1,2匹だ。カレイやアイナメ、メバルなど冬の魚は釣れる可能性はあるが、とにかく寒い。着くまでははりきっていて、「今日はカレイの30cmを釣るぞ。」などと思っているのだが、釣り始めるとあまりの寒さにめげてしまう。1時間もしないうちに「帰ろう。」ということになる。

多分、3,4時間我慢していれば何か釣れる可能性は高いし、特に冬のカレイやアイナメは大きくて脂がのっているのでとてもおいしのはわかっているのだが、そこまでの執着心は起きないのだ。こんな時は釣り場近くの日帰り温泉で夕食を食べて帰ることが多い。暖かな温泉で温かいご飯をゆっくり食べる方が寒い中耐えて釣りをするよりずっといいだろう。釣りはあくまで楽しむためのものだ。修行のような釣りをするつもりはない。

近頃は学習して12月~2月ははじめから出かけない。 

2、環境

底が砂場で一部障害物やカケアガリがあるのがいいのがハゼ、キス、アナゴ、カレイ、イシモチなど。岩場がいいのがアイナメ、メバル、メジナ、ギンポ、ムラソイなど。サビキで狙う魚は底の状態はあまり関係ないが水深はある程度ないとダメだ。

水深はハゼ、アイナメ、ムラソイ以外は深いほうがいい。

3、時間

実はこれはあまりよくわからない。日の出と日没時にあたる朝マヅメ、夕マヅメはよく釣れると言われているが、私の経験では一番釣れるのは日没後2時間あたりだろう。何時に釣れるということよりも魚種によっての釣れる時間釣れない時間の違いの方が大きい。

例えば、小さな青魚系は昼間しか釣れない。イワシやサッパ、小アジのサビキ釣りは昼間しかできない。。また、アイナメやキスもほとんどが昼間しか釣れない。逆に夜しか釣れないのはメバルやアナゴ、中型以上のアジなどだ。昼も夜も釣れるのはハゼ、カニやカレイ、スズキ(セイゴ・フッコ・スズキ)などだ。ただしスズキは大型になればなるほど夜がいい。もちろん例外はあるが参考にしてほしい。

私はいつも昼ご飯を食べた後に出かける。だいたい1時から2時前後に釣り場に到着するようにしている。そこでまず昼間に釣れる魚を狙い、その後夕方から夜に釣れる魚に狙いを変更する。それは早起きをしなくても釣果が期待できるとても効率の良いやり方だ。釣りは早起きしなくてはいけないのが嫌だとおっしゃる方もいるとは思うが、そんなことはないのだ。

4、潮

潮はとにかく流れている方がよい。干潮と満潮、満潮と干潮との間で潮が流れるが、満潮時と干潮時には潮が止まる。流れ方は大きい方がよい。しかも上げ潮に乗って魚は浅瀬に餌を求めてやってくる。その日その日で潮がどう動くかが載っているのが潮汐表だ。インターネットなどでも潮汐表は簡単に手に入る。

潮の干満は月の満ち欠けと連動して起こる。大潮とは満月と新月の時で最も満潮干潮の水位の差が大きくなる時だ。長潮、中潮とどんどん干満の差がなくなっていく。大潮、中潮、若潮、長潮、小潮・という順で釣果を期待できる。

釣りに出かける前に目的の釣り場の潮汐表をまずチェックすることをお勧めする。目的の釣り場の潮汐が分からない場合、近くの釣り場のでも大丈夫だ。数十キロ程度の距離なら潮汐はほとんど変わらない。

5、天候

意外なことだが魚は晴天よりも曇天を好む。どうしてかと言えば曇天の方が水面上から姿を見られず、安心して餌を捕食できるからだ。そういう意味では雨もそれほど悪い条件ではない。逆に晴天は水が透き通っているということで、あまり好条件ではないが、ハゼやキスなどの水温の高い状態の好きな魚にとっては好ましい。

濁っているところが好きな魚でも、台風が過ぎ去った時や流れこんでいる川から大量の泥が入りこんだときなど、濁りすぎの場合ほとんどは釣りにならない。水温が急激に下がるということも原因の1つだろう。こんな時に釣りに行っても無駄足になる可能性が高い。

実は釣りで最も障害となるのは風だ。風があっても海中の状態はあまりひどくはないらしい。しかし、魚がえさを咥えても釣っている側にはよくわからない。結局エサを取られるだけで一向に釣れないということになる。また、仕掛けを投げる時に逆風になることがあるのであまり遠くまで投げられないことも多い。

東京湾の場合、湾自体が南向きなので春から秋にかけて風が強く吹く日が多い。夏場など晴天でも風速10m以上の風がよく吹く。自宅付近では数mの風でもさえぎるところのない海だと数倍の風速になることがあるのだ。海上の風については天気予報やインターネットで知ることができるので、風が強そうな日は釣りに出かけるのを控えた方がよいだろう。行っても結局糸を垂らすことができなったこともあるし、一度だけだが風にあおられて海に落ちそうになった。事故などを起こしたら最悪だ。

6、道具

1)竿、リール

市販の2、3000円の程度の格安セットで十分。60cmのフッコまでは平気だ。

2)道糸

もちろん高級なPEラインの1号があれば文句ないが、いかんせん高い。ナイロン3号で大丈夫だ。フッコを中心に狙うならナイロン4号にしておこう。ラインは細ければ細いほど魚に気づかれ難いのだが、魚体が大きなものになると切られる可能性が高くなる。

3)オモリ

キスやハゼのチョイ投げ用にはジェット天秤の6号~8号がいいだろう。投げといっても最長で50mほどしか投げられないが。またアイナメのミャク釣り用に4号、イワシ、ママカリのサビキ仕掛け用に6号のオモリがあるといい。ハゼやキスのミャク釣りには4号くらいまでのものでいいだろう。ウキ釣りには板オモリが便利だ。

4)ハリ

ハリもいろいろと選択肢があるが、ほんとんど流線バリまたは丸セイゴバリで代用できる。10cm以下の小型のハゼを狙う場合の赤ハゼの5号、フッコを狙う場合の丸セイゴ13号以外は、流線バリ7、8,9号でいい。夜釣りや魚影の薄い場合は蛍光ビーズをハリの根元に付けるといい。メバル狙いの場合は1gのジグヘッドに青イソメを付けるのが一番いい。イワシ、ママカリ狙いのサビキ釣りの場合は6,7号バリの5本または7本仕掛けがいい。

7、意外な難敵、海ほたるとボラ

岸壁から糸を垂らしとぇいるとすごい数の魚が表面を横切って行くことがある。大きさもまちまちで小さいものは数cmだが大きくなると5,60cmにはなる。はじめこんなにいるのならサビキで釣ることができるのではないかと狙ってみたが一向に食い付かない。エサを青イソメに変えてもやはりだめだった。あとでわかったのだがこれはボラだった。誰も知らないだろうが、ボラはおいしい魚だ。私は岡山で刺身や洗いで食べたことがあったが、味はタイに似たさっぱりとしたものだった。ただ、東京湾ではどうも臭いというイメージがあって誰も食べようとしない。私もいまだに東京湾のボラを食べるのには躊躇している。

そのボラなのだが、実はこいつが困った奴なのだ。ボラは群れで泳ぐ習性がある。特に2,30cm程度までのものは多い時は数千匹単位で行動を共にしている。これは他の魚にはたまったものではない。小さな魚なら恐れをなして逃げ出してしまうのだろう。このボラの大群があらられると大抵がボウズということなる。

ちなみにボラが臭いのは夏場で、それも皮とエラの部分だけらしい。その2つを取り去ってしまえば相当いい材料になる。私も何度か岡山で食べたがタイに似たさっぱりした味だった特に洗いは絶品だった。今度東京湾のも冬場にトライしてみようと思う。

東京湾にはもうひとつ厄介な奴がいる。海ほたるだ。

海ほたるといってもアクアラインのパーキングエリアのことではない。海ほたるは一種の動物性プランクトンで、東京湾では普通に見かけることのできる生物だ。驚くかもしれないがカニの仲間だ。サイズは3,4mmで結構大きい。実際に手に取って見ることができるほどの大きさだ。夜行性で名の通り薄い青白色の光を放つ。海ほたるは外部からに刺激によって発光する。例えば波や浮遊物などにだ。夏に大量発生する時があるが、船などが通るとその舳先が海ほたるの発行で薄い青に覆われる。何とも幻想的な光景が見られるのだ。私もはじめはこの景色にロマンチックな気持ちがわかないでもなかったが、そのうち奇妙な偶然性に気がつかされる。

海ほたるが現れる夜は魚が釣れないのだ。はじめは偶然かと思っていたが、そのうちに原因が判明した。大量発生した海ほたるが仕掛けや道糸にもくっついていたのだ。私が竿を操作すると仕掛けや道糸についた海ほたるは刺激で青白い光を放つ。それを見た魚はその仕掛けを巨大な魚だと勘違いして逃げてしまうのだ。現に近くを泳いでいた20cmほどのボラが、私の竿の道糸が青白く1mくらい光ったのを見て一目散に逃げ出した。これでは釣れるはずがない。きれいな海ほたるは夜釣りの天敵だ。

このあたりの情報をリストにしてみた。

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