はじめに

3月から11月の週末、私はほとんど海に出かける。釣りだ。
とはいってもただのレジャーではない。日曜の夕食の食材採取を兼ねているのだ。新鮮な海の食材を求めてこの7年は横須賀から富津までの東京湾岸地域をくまなく歩いて来た。

釣りはお金をかけようと思えばいくらでもかけられるものだ。しかも、お金をかければかけるほど釣果もアップする。雑誌やテレビでは狙った魚を釣るために、その魚のためだけに竿やリール、そして仕掛けを用意することが前提になっている。それを用意するだけで10万円以上もかかってしまう場合もある。私たち庶民にそんなものを用意できるはずがない。しかもその魚のいるポイントまで船で連れて行ってもらっている。その代金でまた1万円ほど取られる。いったいいくら使えば気が済むのだ。釣りとはそんな高級な趣味だったのだろうか?魚とはそこまでして釣るものなのかといつも思っていた。

しかし、本当はもっと簡単にそんなにお金や手間をかけないでも、ちょっと工夫すれば魚は釣れるものなのだ。いろいろと足を運んでいるうちに、いつも簡単な道具でさまざまな魚を釣っている方がいることも分かった。そのような方たちに話しかけてはいろいろとノウハウを教えてもらってきた。

たまたまハゼを釣って食べた時のおいしさを忘れられなかった。次の獲物、次の獲物と追って行くうちにどんどん釣りにはまってしまっった。ただし私にできる範囲で、あまり高望みせずにハードルを低くして、お金をかけずに初心者でも十分に楽しめるように、ある程度の条件を決めてその範囲でやってみた。読者の皆さんにも十分にできる範囲だ。

1、 場所は東京湾内の富津岬から横須賀くらいまでで、陸っぱり(船を使わない)で移動手段は自動車または電車・バス。
2、 道具は竿・リールのセットで2、3000円程度のもの
3、 餌は青イソメ中心でコマセ、オキアミ、冷凍サンマなど(えさ代は500円以内で)
4、 釣り以外の捕獲道具も使用(網、熊手、軍手、素手など。これも500円以内で)

 結果を言えば、10年間以上これでやってきたが、この条件でも十分に成果があった。

あまり知られていないが東京湾はとても豊かな海なのだ。ほんのちょっと足を延ばせば、いろいろな自然の食材が手に入る。釣ったばかりの新鮮な魚は驚くほどうまい刺身になる。メバルやアナゴの煮付。ハゼやキスの天ぷら。スズキやカレイのムニエル。ナマコの酢の物、イワシやサッパのマリネ。アサリやワタリガ二の味噌汁など。他にも絶品の食材が簡単に獲れる。

本記事は、釣り初心者だった私が自分自身で試行錯誤してきた記録である。タイトルは、捕るのは魚だけではないし、狩猟だと動物だけになってしまうので「狩漁」とした。たまたま私の自宅の関係で東京湾が狩漁場となったが、同じような条件で探せば全国どこでも応用できるはずだ。

改正SOLAS条約が2004年に施行された。この条約はテロ対策の条約なのだが、これにより東京湾のほとんどの大型港にフェンスが設置され、立ち入りが出来なくなった。もちろん釣りも出来ない。せっかく出かけたのに釣り場がなかったというようなことがないように、その辺の情報も提供している。東京湾内富津から横須賀までの主な釣り場の紹介をしている。釣り場の様子や魚種、お勧め度なども書いてあるので参考にしてほしい。

東京湾は釣り場として優れているだけではなく景色も大変素晴らしい。冬の富津岬から見る富士山の夕景色は言葉が出ないほどだ。横須賀から見た房総半島は手の届きそうな距離にありびっくりしてしまう。円形に海を囲んでいる東京湾だからこそ見られる対岸の景色はどこでも個性的で素晴らしい。せっかくこんなに近くに素敵な場所があるのに放っておくのはもったいない。

みなさんもちょっと近所の海まで食材探しに出かけてみてはいかがだろう。きっと思ってもみないような楽しみを見つけられるはずだ。

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