8、バケツいっぱいのイワシを!

私の場合、1つの獲物を捕らえると次はその獲物をどうしたら簡単に、そして大量にとらえられるかを研究し始める。

ハゼの場合、近所の江戸川で釣っていたのが、河口付近まで下り、とうとう行徳海岸までたどり着いた。イワシでも同じよように考えた。イワシはもともと回遊魚だ。季節によって餌を求めて少しずつ移動し、その時は群れで行動する。ということは今この近辺の海にはイワシが入ってきているのではないか。

イワシはある程度水深のある海を好む。行徳橋から一番近い深さのある港はどこか考えた。東京港は大型船が入るので深いのだろうが、さすがに魚釣りという雰囲気ではない。市川には港はあるが狭い。もう少し東によると船橋港があった。私の頭がピンときた。少し賭けのような釣行だったので、あまり力を入れず、日曜の午後からゆっくりと出かけた。船橋港に到着するとそのには誰一人釣り人はいなかった。

「こりゃまいったな。」と思った。別のとき誰かが言っていた言葉を思い出した。「人がたくさんいるところはよく釣れる。人がいるところを探さなきゃ釣れないよ。」ここはダメなのかと思いつつ、とりあえず糸を垂れることにした。

前にやったように10mほど飛ばして手前にサビく。水深があるのでサビく深さもいろいろと変えてみた。しばらくやっているとブルブルというサビキ釣り特有のアタリがあり、あげてみると果たしてイワシだった。狙い通りだ。何度か続けていくとタナも分かり、どんどん掛かりだした。小一時間で100尾以上釣りあげていただだろう。夕食には十分なので納竿とした。

翌週も私は友人を誘って船橋港に向かっていた。その時の船橋港は前週の船橋港とはまるっきり様子が違っていた。車が十数台も止まっていて、釣り人が5,60人はいただろうか。

空いている場所を探し、糸を垂れようと周りを見ると明らかに隣人たちの道具の質が違った。また、釣法も違うようだ。

隣人の釣り方を見ると、餌を撒いている。小さなエビのようだ。後でこれがアミエビだとわかる。しかも小さなカゴがサビキ仕掛けの上につぃている。そうか、このカゴから餌が出てくるわけか。私は妙に感心をした。

岸壁から餌をまき、さらに仕掛けからも餌が出る。さらにさらにサビキバリにはサバの皮が付いているので魚に三重のトリックを仕掛けているということだ。これなら魚もだまされるわけだ。

隣人のビニールバケツはすでに半分くらまでいイワシで埋まっている。さすがだ。

私は自分の餌のカゴのない仕掛けが少し心配になったが、糸を垂れてみた。ところが私の心配をよそに釣れる釣れる。一緒に行った友人の竿にも鈴なりのイワシが踊っていた。

つまり、こういうことだ。潮の流れは隣人の方向からこちらに来ていた。隣人が撒いた餌はしばらくすると私たちの目の前を通り過ぎて行く。魚は私たちのスキンバリを餌と勘違いし飛びついて来たというわけだ。おかげさまで大漁だった。

最後にはとうとう手持ちのビニールバケツからはみ出し始めた。友人に楽しい思いをさせたくてちょっと釣りすぎたようだ。こんなに釣っても食べきれないと思い、はみ出した部分は隣人にお礼のつもりでおすそ分けした。隣人はお礼を言って受け取ってくれたが、食べきれるのだろうか。

車に積んでいるレッドツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」聞きながら「バケツいっぱいのイワシを」持って帰った。

イワシの梅煮

2人で分けたイワシだがそれぞれ下ごしらえして夕食で食べた。残りは冷凍しておいて少しずつ必要な分だけ唐揚げやマリネにした。結構たくさんあったように見えたが2週間くらいでなくなってしまった。

もっと釣っておけばよかったかな。

ポイント

船橋新港でよく釣れたが今は立ち入り禁止だ。

イワシは東京湾全域で釣れる魚だ。水深の深めの海岸や岸壁でならどこでも狙える。季節は春から秋にかけてがよいが、真夏に水温が上がりすぎると食わなくなる。仕掛けはコマセかご付きのサビキ仕掛けだ。コマセとなる冷凍アミブロックは1kg300円ほどで売っている。これを海水の入ったバケツで融かして使う。融かしたコマセをスプーンなどでコマセかごに詰めて上下にサビけばよい。コマセを使った方が釣果は良いが、コマセ禁止の釣り場もあるので気をつけてほしい。

イワシの釣り方

仕掛け

① サビキ仕掛け ハリ 5号~8号 5本または7本がけ オモリ 4号 サビキ網にコマセ

② 少し遠目にサビキ仕掛けを投入してサビキながら引っ張ってくる。タナは中層より深め。水深が深めの場合は足元に仕掛けを投入して上下にサビくだけでも良い。

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