15、アイナメ・キラー 2 ミャク釣り

長浦でアイナメを釣ってから、この魚について調べてみた。テトラや敷石帯での穴釣りという釣法が紹介されていた。早速テトラ帯のある場所を調べてみると、この湾岸地域にも結構存在していた。身近なところでは浦安や船橋や幕張。長浦にも少しある。富津新港は沖に伸びている防波堤の外側がすべて敷石になっていて、1kmくらい続いている。私は富津新港を目的地として、早速出かけることにした。

富津新港は港の北の部分に公園があり、その手前に駐車できるスペースがあった。そこに車を置いて敷石帯まで歩いた。これが結構大変で一番手前でも2,300m歩かなくてはならない。そこで私は痛恨のミスをする。500m以上歩いたところで餌を車に忘れてきたのに気がついた。あわてて取りに戻った。結局合計1kmくらい歩いた。30分近く時間をロスしただろう。こういうときはたいていだダメだ。

仕掛けはいつものスナップサルカンに4号のオモリをつけ、ハリは流線8号。今回は投げるのもほんの足元なのでジェット天秤は不要だ。アイナメならブラクリだろうと思う方もいるかもしれない。この時はそんなもの知らなかったし、知っている今でもあの時の仕掛けのままだ。だってこっちの方が釣れるんだもん。

私にとってこの場所は鬼門だった。1投目から根掛かりしハリをロスした。つけ直して3,4投すると足を滑らせて水に入ってしまった。ズボンの右側の足が膝まで濡れてしまった。こりゃだめだと思い、場所を変えることにした。

実は別の時に同じ場所で車をバックさせていると、大きな石に底をぶつけてマフラーを折ってしまった。JAFを呼んで応急処置をしてもらったが、マフラーをはずして走ったので、暴走族顔負けの大音量で家まで帰ってきた。恥ずかしかった。しかも修理費は7万円も取られた。それ以来富津新港に行ってもあの場所には近づかないようにしている。

富津岬には北側に富津新港という貨物港、南側に下洲港という巨大な漁港がある。次の目的地を下洲とした。インターネットで航空写真を見ると下洲港の外側一帯にはテトラが張り巡らせてある。そこに行けば穴釣りができるのではないかと考えた。

下洲港は巨大な漁港だった。全長1km以上はあるだろう。どこから攻めようかと考えていると鉄則を思い出した。「人が沢山いる場所が釣れる場所。」人が沢山いるのは西側のテトラ帯とそこから突き出た100m程の防波堤だ。他にもちらほら人はいるが、溜まっていのはその場所だった。

私は防波堤の手前に車を止めた。

防波堤の上には50人近い人が釣りをしていた。何が釣れているかと尋ねると意外な答えが返ってきた。ハゼだ。港の内側に竿を出している人の狙いはこの時期大きくなっているハゼだった。こんなところまで出向いてハゼを釣る気はしない。あくまで狙いはアイナメだ。

防波堤の外側に向けて竿を出している人は別の獲物を狙っているようだ。青いタイのような平べったい形をした魚だ。私はその魚を知らなかった。聞くとメジナだという。みんな15cmくらいのものを結構釣りあげている。これもいいかなと一瞬思ったが、彼らとは道具が違う。5m程の穂先の柔らかい、いかにも高いぞという感じの竿に、20cmはある高級そうなウキ。餌も何やら練りものやエビようなものを使っている。また、コマセもボンボン撒いている。これは私には無理だとあきらめた。

後でお話するがメジナも私の廉価版セットでよく釣れる。餌も青イソメで大丈夫だ。

下洲港の防波堤は2種類あって、先ほどのは港の内側に腕のように突き出たもののことだ。もう1種類は3mほどの壁のようになっている。この外側は大きなテトラ帯になっている。このテトラ帯をのぞいてみることにした。ハシゴをを登り壁の上に立つとそこは絶景だった。目の前に富士山が見える。右側には対岸の街並、横須賀か?左には房総半島が弓なりに連なっていた。

絶景に目を奪われていたが足元を見ると眼に前に巨大なテトラ、1辺が3mくらいはある、その下の海面までは7,8mはある。これは落ちたら死ぬなと思った。

下洲漁港から東京湾観音を望む

周りを見回すと5,6人の釣り人が穴釣りらしき様相で動いている。そのひとりに釣果を尋ねるとバケツを見せてくれた。3,4匹、20cmくらいのアイナメが入っていた。仕掛けはブラクリだった。私をはじめてブラクリなるものを見たが、結構ハリが大きいので驚いた。あの小さなアイナメの口にあの大きなハリが入るのだろうかと思った。もちろん、ブラクリは持ち合わせていないかったのでそのまま流線8号にオモリ4号を付けて、テトラの穴を探り始めた。

ところが3,40分たってもアタリが一切ない。こんな時はあせってもしょうがないので、別の竿を2本用意して置き竿をすることにした。置き竿のうち一本はテトラの中に、一本はテトラ横の岩場に投げ入れておいた。

このような場所にアイナメは潜んでいる

そして、その岩場の水の中をふと見ると、するするっと移動する魚の影が見えた。ハゼかなっと思ったが少し違うようだ。餌を探して移動しているようだ。手待ちの竿でその魚の目の前に餌を落としてみた。波があるのでなかなか真正面に餌が落ちない。何回かやり直していると魚のちょうど目の前に落ちた。魚はぱくっと餌に食いついたように見えた。ところがいっこうにアタリがない。竿をあおってみるとブルブルッと一気に引き込まれた。ハゼに見えたのはアイナメでしかも20cmを超える型のものだった。上から見ると小さく見えたのが上がってくると意外に大きかったので驚いた。

他にもいないかと探すと「いたいた。」同じようにスルスルっと移動している。これも目の前に餌を入れると食いついた。そんな感じで数匹を釣りあげた。

置き竿の方もチェックしてみた。テトラのところに置いた竿を見ると竿はしなっていなかった。これはダメだなと思ったが、餌が取られているかも知れないので、一応上げてみた。するとブルブルッという感覚が腕に伝わった。「掛かっている。」テトラに引っ掛けないようにあわてずに取りこんだ。これも良型だった。

どうもアイナメは餌に食いついてもそれを引き込んで食べるということをせずに、その場でムシャムシャと食べ始めるようだ。アタリはあまり明確ではない。

アイナメとメバル

岩場の置き竿も上げてみた。こちらは根掛かりしているようだった。竿を立ててもダメなので、糸を手でひ引っ張ることにした。すると急に軽くはなったのだが、どうもまだなんか付いているようだ。引き上げるとこれにもアイナメがついていた。

結局全部で十数匹釣りあげた。ここ下洲はアイナメ釣りにはベストポイントなのだろうか。

アイナメは刺身と煮付になった。

今回のポイント

下洲港

安全には細心の注意を払ってほしい。落ちたら大けがします。

アイナメの釣り方2

アイナメミャク釣り、置き竿 アイナメは岩場のポイントに餌を入れると勝手に探してその場で食べ始める。食いしん坊な魚なのであまり誘う必要はない。

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