富津新港で9月、10月にキスやハゼを釣っていると時々イカのような生物が引っかる。しかし、途中でばれてしまい、なかなか取り込むまではいかず、いったい何なのかと考えていた。ある日正体が判明した。イイダコだ。
よく船でイイダコ釣りに出かける話は聞くが、陸から釣った話はあまり聞かない。調べてみるとイイダコの船釣りのポイントは富津沖ということがわかった。富津新港は大型船が出入りするので水深が深い。富津沖のイイダコがそこまで流れてくるのだろう。
いつもイイダコがかかるときは水面まではうまくハリに掛かっているのだが、水面から上げる時にハリがイイダコの重さに耐えきれずにばれる。そこで考えた。水面にいる時アミですくってしまえば問題ないはずだ。いつもキスやハゼを釣る時にはサイズが小さいのでタモアミは使わないのだが、このときばかりは横にアミを置いておいた。
何匹かキス、ハゼを上げているとアタリがきた。
イイダコには独特のアタリがある。仕掛けをサビいていると急に何か引っかかったように重くなる。ただ根掛かりしたような感じではなく、ただ少し重くなるという感じだ。カニのあたりに似ているがカニよりも軽い。
水面付近まで引いてきて横にあるアミを手に取った。アミは折りたたみ式でたたんだままだった。先の部分を下にするとアミ先が伸びていく。全長は7mなので水面までは十分に届く。アミ先を水に沈めて一気に取りこんだ。
イイダコ |
上がってきたのは10cm足らずの小さなものだ。確かにタコの形をしている。すでにハリから外れているタコは大きな網の目から脱走を図ろうとしている。私はあわてて手でつかみバケツに入れようとするが、一発食らった。墨だ。あのサイズなので大した量ではないが、白いシャツの一部が黒くなってしまった。小さくともタコはタコだ。
イイダコはバケツに収まった後も盛んに脱走を試みる。仕方ないので車から潮干狩り用の網袋を持ってきた。これはタコ釣りには必須の道具だ。クーラーに入れてもいいが夏場は傷みやすい。
結局6杯釣ったが、バラシもまだ相当あった。あたりは20回ぐらいあっただろう。もう少し研究すればもっと釣れるだろう。今後の課題としよう。
その後、私はイイダコ専用のタコテンヤやイカスッテ等を使ってのイイダコ釣りもやってみた。イカスッテでは釣果0、イイダコテンヤでそれ専門に1日やってもせいぜい10杯程度だった。この釣りはとても面白い釣りだったが、イイダコ専門に狙うには絶対数が少ないのだろう。イイダコは陸っパリでは外道にしかならないようだ。アイナメなど狙っていてときどきイイダコが釣れるくらいが効率はいいようだ。
持って帰ったイイダコは3種類の料理になった。
1、刺身
洗ったタコの墨袋を取り、塩でもんでぶつ切りにする。それだけ。新鮮だからできる一品だ。ただし釣ったその日より次の日の方がやわらかくておいしい。冷蔵庫で1日保存することをお勧めする。絶品だ。
イイダコの刺身 |
2、煮付け
同様に墨袋を取り、沸騰した水と砂糖と醤油の汁で煮る。
これはほとんどの方が食べたことがあるのではないか。
新鮮なので歯ごたえがある。おいしい。
3、から揚げ
ちょうどキスとハゼを揚げていたので2杯分を一緒に揚げた。
これも絶品。1匹丸ごとで構わない。
どの魚でもそうなのだが、新鮮な素材が生きる料理にすると、今まで食べた事のないような美味になる。
今回のポイント
今回は富津新港で釣った。
イイダコは富津岬の北側から袖ヶ浦までで釣れる。木更津港、金田漁港なども狙い目だ。残念ながら長浦以北では見たことがない。多分播州付近を住み家としているのだろう。面白いことに対岸にあたる金沢八景や横須賀でも釣れる。
イイダコの釣り方
アイナメのミャク釣りと同じ仕掛けで同じような方法で釣る。エサは青イソメだ。岸壁から5~10m程度投げて底を引いてくる。1m程度引いては一度止めての繰り返しで誘う。イイダコがエサに抱きつくと竿が少し重くなったように感じる。明確なアタリはない。石ガニのような感じのアタリだが、石ガニよりも軽い。
アワセはゆっくり目でしかもあまり大きくアワすと外れてしまうので慎重にサッと引いてくる感じにする。そのまま糸は緩めない。緩むと外れる。必ずタモアミは用意しておこう。そのまま引っこ抜けそうでも必ずアミですくうこと。その一動作で釣果がアップする。